やるやん
フロンティアエイジ5月号 第9面より
やるやん 「73歳で作家デビュー」 小林 真一さん(神戸市)
商社体験ぶつけ年4作 透析おり進む筆
高度経済成長期に花形商社マンを辞め、美容食品の輸入販売会社を起こして29年になる神戸市東灘区の小林真一さんは昨年、73歳で作家デビューした。すでに4作品を発表し、5作目を書き進めている。
中でも去年10月に出版した体験小説「炎の商社マン」はビジネスマンの間で評判。総合商社の経営体質やヨーロッパ駐在体験などを、架空の商社の話に托し、四六判の上、下巻計約900ページに展開する長編。腎臓病で97年から人工透析を受ける身だが、「書くことで疲れを感じることはない」という。6月1日に74歳の誕生日を迎える。

1934年に中国・大連で生まれ、小学生まで旧満州で育った。終戦直前に母が急死、戦後は進攻したソ連軍から身を隠す父に代わり、たばこの売り子をして生活を支えた。46年に父の郷里・淡路島へ引き揚げ「周りは田んぼなのに家には米がない」暮らしに耐えた。
アルバイトをしながら57年に大阪市立大を卒業し、トップ商社の東洋棉花(後のトーメン=06年豊田通商に吸収合併)へ入社。23年間の在職中にハンブルク支店長代理を4年、ウィーンで東欧支配人を2年務めた。
小説の主人公・中原信介は向こう気が強い。学閥やアメリカ勤務の有無を重視し、合成繊維の台頭に背を向け綿花と羊毛にこだわる会社の体質に反発。上司に「稼ぎのない部長を司令官とは思わない」とかみつく。休日を返上し一匹狼的に動いて合成繊維や機械の大型商談をまとめ、ポーランド漁船団から洋上でイカを買い取る仕組みを作るなど大活躍する一方、役員や海外駐在員たちの裏金作り、女性関係も赤裸々に描く。
「産業構造が大きく変わる時代に流れを読めない会社は生き残れない」。小説は「ほとんど実体験」で、メモや資料を見ることなく書き上げた。
3年前、ブログに身辺雑記を書くとヒット数が1日8000件にも達した。「次は小説を・・・というおだて」に乗って自社に出版部門の「きらめく星座社」を創設、販売は書店に直接働きかけた。いわば自費出版だが、全国の180店で扱われ、初作は2千部を発送した。
3時間半の人工透析を週3回続けながら昨年10月、12月、今年1月、5月と立て続けに4作。「より上に挑戦する」が信条という。「きらめく星座社」はTEL078・857・3148。 (金澤清弘)


































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